Northern Rally2022 開催レポート
3年ぶりに行動制限の無い夏を迎えた北海道。
7月16日(土)~7月18日(月・祝)の3日間にわたり、その広大な大地を舞台としたNorthern Rally2022を開催しました。

北海道札幌市の「さっぽろコミュニティドーム」(愛称『つどーむ』)において行った開会式には、日本各地から90名のライダーが集結。
折からの雨に打たれながらも、その表情には期待にみなぎる笑顔がはじけます。
続く「風間深志とアンバサダーによるトークショー」は『社会の喜びになるツーリングとは?』をテーマに、街の人々の心にも豊かさを感じてもらえるバイクツーリングの在り方を考えました。
スタート前からの興奮


安全は何にもまして最優先
また、ステージでは、日本ACLS協会所属のBLS(心肺蘇生などの一次救命処置)インストラクター、新井瑞雪さんによる「ライダーのためのレスキュー講座」を開催。

ファーストエイドについて説明する新井さん
万一事故が起きてしまった場合、具体的に現場でどんなことをしたらよいのか?
多くのライダーがファーストエイドの方法を知っていることで、転倒ライダーの救命率が相当に上回るといわれています。
新井さんは日ごろは看護師として勤務されていて、事故現場での初動対応などについて講師をされている方。
バイク乗りの方の中により多く救命の知識をもったバイスタンダー(その場に居合わせ、初動対応できる人)を育てたいと活動されている中でのご登壇で、参加ライダー達は各々に表情を引き締めながら、新井さんのお話に聞き入っていました。
華麗な技に拍手喝采
つどーむは、丘珠空港に隣接する広大な会場。


そのロケーションを活かして、ここでは北海道警察の機動警ら隊の皆さんによる華麗なデモンストレーション走行が披露され、ウエットコンディションにもかかわらず、美しく決まる技の数々に拍手喝采です。
加えて、札幌東警察署の方からも、北海道ならではの事故や、それに対する留意点等、ライダーに北海道の旅を安全に楽しんでもらうための安全講習があり、普段ありきたりに聞く「安全」は決して受動的なものではなく、「各々が条件を整えて創るもの」というお話を、襟を正しながら聞く有意義な時間となりました。
その後はじゃんけん大会やトークセッションで盛り上がり、ステージイベントは終了。


昨年に引き続き、にっぽん応援ツーリング北海道アンバサダーを務める東和代さんとMARIAさんのお二人が、スターティングレディーとして登場しました。
いよいよ、各ライダーがNorthern Rally2022のスタートラインにつきます。
スタートフラッグを待つ車列には、この場所に到達するまでに、様々な旅程をこなしてきライダーたちが並んでいます。
フェリーの予約に苦労した人。
忙しい仕事に何とかキリをつけて飛行機とレンタルバイクで駆け付けた人。
各地からの仲間を歓迎する道民ライダー達。
初参加の若者もいれば、古参のライダーたちの姿も…。
悲喜こもごもの日常を乗り越えて、この日を待ち焦がれていた人たちばかりです。
そんな彼らが集まる光景を心から喜んでいたのは、Northern Rallyの提唱者である風間深志本人。
集まってくれたライダーたちの表情に見え隠れする、彼らの日常を伺い見るのが毎回楽しみにしているといい、スタートフラッグを振り降ろしながら一人一人のライダーを見送る表情には、彼らを迎え入れることができた喜びがあふれていました。

スタートを迎えた90人90様の冒険
Northern Rallyでは、道内23カ所に設けられたWP(ウェィスポット)のうち最低3か所を選んでそれらを経由しながら、それぞれの地点で得られるポイントを30pt以上集めて7月18日の16:30までに開陽台にたどり着くのがルール。
この基本ルールに従えば、道内の旅程は各々自由自在ですが、北海道の広大さゆえに、距離と所要時間、さらには天候予測などを見誤ると、それ相応なしっぺ返しに遭う可能性があります。
用意周到の旅程をこなすことも、ハプニングに臨機応変なドキドキも、「冒険」と呼ぶにふさわしい旅の醍醐味。
自分の走行レベルに合わせてルートを組む人もあれば、ポイントゲットを第1の目標に据える人、道内の東西南北4極制覇を目指す人もいて、思い思いのテーマで楽しめるのがNorthern Rallyの面白いところ。
かくしてNorthern Rally 2022、90人90様の冒険がスタートしたのでした。

満面の笑みで走り出す参加ライダーたち。
7/17日(2日目)は、風間親子と行く「三国峠絶景ツーリング」を開催
基本的に翌17日(日)は各自任意のツーリングとなりますが、この日の昼から、風間深志・風間晋之介親子が「三国峠ツーリング」を開催。
集まった20人のライダーたちとともに、各地の絶景を楽しみ…
たかったのですが、現地は土砂降り。
それでも風間深志は、


「こういうのがNorthernらしいんだよね。」とこの笑顔。
やれやれと後に続く参加ライダー達も、雨をそれなりに楽しめた様子です。
その晩、こちらのロッチでは「夜のトークショー」も行われ、和やかに夜が更けていきました。

開会式からこの日までの2日間は、雨にみまわれ雨まみれ。
そンな状況でしたが、そのほかのライダー達から事故の連絡もなく、全員無事に旅程をこなすことができたようです。
思い出のダートを走る
そうして迎えた最終日。
参加ライダーたちが様々なルートでゴールの地開陽台を目指す中、風間深志一行はもう一つのツーリング「虹別林道〜開陽台ツーリング」を開催しました。
ルートになった虹別林道は、41年前の「ノースランド・ラリー」でも使われた虹別林道。
Northern Rallyにとってはマザーロードともいうべきルートで、風間深志にとって思いれの深いルートです。
虹別林道は割とハードなオフロード。
それでも、この思いを共有する参加者たちは、リアルなダートに果敢に挑戦しながらも転倒を回避し、無事に通過することができました。

風間隊がこうしてこの旅のルーツをたどる頃、そのほかのライダーも各々のルートで幾多の苦労を乗り越えながらゴールを目指し、旅はいよいよクライマックスへ。
「聖地」開陽台へ
中標津町の開陽台には、続々とゴールを果たすライダー達の姿がありましました。

開陽台は、地平線を360°見渡すことができる絶景が人気のスポットで、ツーリングライダーの間では長年にわたって「聖地」として親しまれてきた場所です。
Northern Rallyでは昨年に引き続き、開陽台のさらなる活性化に尽力する「なかしべつ観光協会」はじめ、地元の皆さんと一緒に準備を進め、この地にゴールを構えてライダーたちを迎えることができました。

こうして、雨や悪路を乗り越えながらたどり着いた中標津。
そこではライダー達の歓びが、街の振興に貢献し、街の人々がライダー達を喜んで迎えてくれる。
これこそまさに「ライダーの歓びを社会の喜びに」という私たちが大切にしている旅の精神。
参加者の一人一人がその姿を具現化してくれたことに、風間深志は大きな喜びを感じたと言います。
街が参加者を称えてくれた
そんな参加者たちの労を称えるため、この日の夜は中標津町のトーヨーグランドホテルに於いて、「Northern Rally2022 表彰パーティー」を開催。

当方事務局からの表彰に先立ち、中標津町から町内の観光名所についてのご紹介PRをいただいた他、西村 穣町長から直々に町長賞が授与されました。

町長賞を受賞者に手渡す中標津町の西村 穣町長(左)
これに続いて、当方事務局から参加者のGPSシステムのデーターを基にした下記各賞の表彰が行われ、
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最多ポイント賞(男女別)
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最多観光ポイント賞
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最多WP賞(ウェイポイント)
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北海道4極到達記念賞
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最年少賞
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最年長賞
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遠来賞
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ピッタリ賞(クリア条件30P)
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ユニーク賞
これらの賞に、「初参加賞」を加えた10賞をもって、ゴールを果たした多くの参加者を称えました。
この夜は大きなホテルでゆったりと過ごすことができるとあって、参加ライダー達は互いの旅の話に花を咲かせながら、ここまでの疲れを癒す骨休めができたようです。
終わりは始まり
Northern Rally本体としては開陽台でゴールを迎えたわけですが、「参加者それぞれが無事に帰宅するまでがラリー」ということで、翌19日には中標津空港の旧滑走路に場所を移し、の朝8時から、ライダーたちを見送る『解散出発式』を行いました。

スタートの地「つどーむ」も空港で、最後に皆さんを家路に送り出した中標津も空港。
実はこれは「PORT to PORT」となっているわけで、南極・北極の両極の旅を終えた時、イギリスBBCに「POLE to POLE」と形容されたことのある風間深志流の洒落なのです。
これに気付いた方が幾人おられたかは定かではないところですが…。

ここから急いでフェリー乗り場に向かう人、さらなる旅に向けて走り出す人。
様々な形で日常に戻ってゆくライダー1人1人を心から祝福しながら、Northern Rally2022は無事に幕を閉じたのでした。
もう一つのNorthern
今回、風間深志はNorthern Rallyを開催するにあたって、
『40年前、少年だった人の今は、一体どんな風になったのだろうか???』
と、古参のライダー達に会うことを楽しみにしていたと言います。
そこで風間深志の発案により、Northern Rallyが終了し、中標津で各ライダーを見送った19日(火)の夜にNorthern Rallyの礎となった「ノースランド・ラリー」第一回目の開催地「かなやま湖畔キャンプ場」において、「ノースランド・ラリーOB・OG会」が行われました。
集まったのは、当時を知る18人のライダーたち。
それぞれに苦労と年輪を重ね、元青年たちが身に着けた貫禄に風間深志の表情も緩みます。

そんな仲間が集まって、焚火を囲んでの座談会。
そしてノースランド・ラリーで唯一の催しだったというじゃんけん大会を「復活」させて、懐かしい顔ぶれと一緒に、和やかな夜が更けていきました。
北の情熱を最南端の地に
こうしてNorthern Rally2022はすべての日程を終え、旅の情熱は最南端の地を巡る、Southern Rallyへと引き継がれていきます。
写真協力;Yoko Nakayama さんほか当日ご参加の皆様(にっぽん応援ツーリング・九州アンバサダー)